ABOUT 概要

理工学部の学び

大学教育と「理工学」

人間が本質的に持つ知的好奇心や向上心などが現代の文明,文化を生んだ原動力になったといわれています。その文明,文化を次世代に受け継ぎ,発展させるシステムのひとつに「大学教育」があります。大学では様々な学問の教授が行われるとともに教授陣は研究に取り組んでいます。これらの成果を身に付けて学生は社会へ巣立ち,世の中の利便性や知的レベルを向上させ,国の発展そして文明と文化を発展させる上で貢献していきます。

つまり,大学とは文明や文化そして科学や技術を後世に,より洗練された形で引き継ぐ上で重要な役割を担う教育機関なのです。大学で教授される学問の分類にはいくつかありますが,大別すれば,自然科学(自然現象を研究対象とする:物理学,化学,生物学など),社会科学(社会現象を研究対象とする:法律学,経済学,政治学など),人文科学(人類の文化全般を研究対象とする:文学,歴史学,哲学,など)があります(大辞林)。工学とは,人間が生活する上で必要な製品を生産するための応用技術を学ぶ学問分野です。歴史的に見れば,土木工学・機械工学・電気工学などが土台になり,多くの分野に細分化され発展しています。その工学は自然科学を基礎としています。自然科学の基礎となる理論的研究をする物理学,化学,生物学,地球科学,天文学,数学などの総称は理学と呼ばれており,工学と理学は別々の学問分野として区別されてきました。しかし,科学技術の発展に伴い工学と理学の研究領域は接近し,融合しつつあります。工学における新技術の開発に科学の新理論が応用されたり,理学における新理論を検証するために新しい技術によって開発された装置を応用するなど,工学と理学はそれぞれ補いながら一体となって発展しています。そのため,これからの社会を牽引する新しい科学技術の創設には,理学と工学を融合させた「理工学」の重要性が増し,大学における教育の必要性も高まっています。

理工学部の社会的使命を果たす中での実践教育

理工学部は,産業界との密接な結びつきのもとに,社会の要請に応える技術者・研究者を養成するとともに,社会に貢献する研究成果を発信していく必要があります。すなわち,大学が高校と最も違うのは,大学の教員は科学技術の発展のための研究テーマを持ち,その研究に打ち込んでいる点です。教員は学生,大学院生とともに実施した研究の成果を社会に発信する,大学に課せられた社会的使命を果たしています。したがって,学生はシラバスに沿った教室での座学とともにSD PBLや実験実習の経験を積み,3年生後期の事例研究を経て4年生の卒業研究では,教員の研究テーマの一端を担うことにもなるでしょう。最近では,各授業にて,アクティブ・ラーニングやPBLなどによる授業展開が行われており,「正解」がない時代の昨今,教科書には書いていない,あるいは答が一つではない問題を発見し,課題を抽出しながら自分で考え工夫して成果をまとめる経験を積みます。研究を進める過程で複数回にわたる発表の経験を積み,技術者・研究者としての実力が養われます。「卒業研究」では研究分野の奥深さ,おもしろさを感じることができるとともに,社会から強く求められる実践力を身につけ,技術者・研究者として大きく成長できる1年間となるはずです。優れた成果がでた場合には学会で発表するという貴重な経験を積むこともでき,将来への大きな財産になることでしょう。

最近の科学技術の情勢

現在,コロナ禍の問題や,生活・経済,環境,エネルギーの3つが複合的に絡みあう問題,そして,知識集約型社会に向けた日本の産業界の問題などが山積しています。このような問題を解決するため,世界各国がしのぎを削っており,近年の科学技術の進歩は著しく,かつ,価値観が急速に変化し,新しい研究分野が続々と誕生しています。「正解」のない時代と言われ,次から次へと新しい未知の課題が生じ,大学で勉強した最先端の知識などはすぐに古くなってしまいます。このような状況では,問題を発見し解決する力,困難なことに立ち向かう気力を持ち,何事に対しても知的好奇心を持ってチャレンジすることが極めて大事です。本学では,このような情勢に対応するため,ゲームチェンジ時代の製造業を支える「ひらめき・こと・もの・ひと」づくりプログラムを開始しました。2021年度から,機械,機械システム,電気電子通信の3学科の学生が参加可能となり,2023年度は理工学部展開,2024年度は全学部で展開する予定です。ぜひ参加を検討してください。また,専門教育で学ぶ数式や専門用語は国際共通語です。さらに,英語によるコミュニケーションが不可欠です。世界で活躍できる技術者・研究者を目指してください。

科目履修と初年次教育

以前の工学部といえば,機械工学科,電気工学科,建築学科,土木工学科など極めて単純な学科名称しかありませんでした。しかし,近年における科学技術の進歩と学問分野の多様化に伴い,様々な学科が増設されています。このため,入学後に学科の専門内容に違和感を覚える学生も少なからずいるようです。そのような学生のために,東京都市大学では興味を持つ他学科の授業の履修が可能な制度を導入し,科目の選択の幅を広げています。このような制度を活用するために,履修に当たっては学修要覧を熟読するとともに,不明な点はクラス担任などに遠慮なく相談してください。それでも違和感が解消できない場合には,転学科や転学部が可能な制度を用意しています。
さらに,心に学びの灯を点ける初年次教育をはじめ,段階的な成長を促す教育プログラムが用意されています。問題点を調査し,考え,それをまとめる,問題解決のためのトレーニングを積む経験を早い段階から味わい,自身の成長につなげてください。

学生生活ならびに卒業生との絆

東京都市大学の理工学部は,前身校である武蔵工業大学の伝統と教育研究における社会的評価を継承し,90年の歴史の上に成り立っています。その歴史の中で,伝統あるクラブでの活動や,春の体育祭,秋の東京都市大学世田谷祭などに参加する機会が用意されています。クラブやサークルに加入して,学科を超えた友人を持ち,イベントにも積極的に参加して,共通の思い出を作ってください。このような課外活動が卒業後の同級生や同期生,さらに同窓生の一体感につながります。卒業後,仕事の上で接した相手が同窓生であることがわかり,仕事を進める上で大いに役に立った,との卒業生の声を数多く耳にします。大学生活は,教室での勉学が全てではありません。全国から集まってきた同世代とともに,遊び,語り,議論するという経験が自己の新たな発見と成長に大いに役立ちます。
理工学部では大学創立以来の卒業生が多くの分野で活躍しています。そのため,就職活動でも卒業生の支援を受ける機会が多くあります。理工学部の就職では個人単位で取り組む就職活動だけではなく,先輩がリクルータとして会社との橋渡し役となり,就職先を決める事例が数多くあります。入社後にはアドバイザとして,何かと支援していただける機会もあります。このような人的なつながりが理工学部の長い伝統による財産の一つです。しかしながら,リクルータは先輩であると同時に志望学生の評価結果に対して会社に責任を負います。それゆえ,人を頼るだけではなく,就職にあたっては,学問のみならず,人格的にも自己を磨くことが大事です。

学生へのアドバイス

大学は成長の場

東京都市大学での4年間の学生生活は,単に知識を身につけるためだけの期間ではありません。卒業後の長い人生を乗り切るためにも,常に前向きな気持ちを持ち続けて欲しいと思います。学生時代は人間として一番成長するときです。大学は学生が成長する場を与えます。失敗を恐れずに積極的に物事に取り組む姿勢は若さの特権で,この姿勢こそが大きな成長をもたらします。近年は情報通信技術の発展によりバーチャルな体験で満足してしまい,積極的に実体験を積もうとする学生が少ないように感じられます。バーチャルによる体験も貴重ではありますが,実体験における感動は人生にとってかけがいのないものです。現在,コロナ禍もあり,オンライン授業も併用となってしまうことがあると思いますが,よい友を持ち,東京という地の利を生かして「本物」に接する経験を積むことは,若い時代には不可欠です。さらに,インターンシップやボランティア活動は社会を知る機会であり,その経験が大きな成長につながります。

理工学部での勉学

専門科目の多くは基礎から応用へと,学年ごとの科目を段階的に学んで知識を積み重ねることが極めて重要です。したがって,日々の授業に出席し,その内容を一つずつ吸収し蓄積することが肝要です。理工学部は「理論と実践」という教育理念を掲げています。そのために,実験科目や実習科目も数多く用意されています。授業で学んだことを実験や実習で応用することで専門実践力を培ってください。

目標実現のために

理工学部では,自分が目指す分野の技術者・研究者になるために,早い段階から目的意識を持ち,目標に向かって体系だてた知識を吸収することが重要です。そのためには自分自身で効率的な履修計画を立てることが必要です。その際,知識の吸収だけでは一人前の技術者・研究者にはなれません。吸収した多くの知識を活用して役立てる工夫,つまり知恵を磨くことが不可欠です。そのために,日頃から考え,工夫をする努力を惜しまないでください。勉学を柱にすることは当然ですが,課外活動,アルバイト,遊び,などを両立させていくことが実りある学生生活を送るために欠かせません。4年間という時間は瞬く間に過ぎます。このことを常に留意し,有意義な学生生活を送ってください。

東京都市大学の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

東京都市大学は、持続可能な社会発展をもたらすための人材育成を目的とし、その目的を達成するための学術研究の領域ごとに学部を設置しています。各学部では、それぞれ定めた「人材養成および教育研究上の目的」に基づき、以下のような能力・意欲・目標を持つ人を求めます。

1.大学教育に求められる「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」を持つ人
2.当該学部学科の学術研究領域に対する強い関心と意欲に基づき、自ら学ぶ姿勢を持つ人
3.教育研究を通じて身につけた幅広い視野と専門的学識により、持続可能な社会発展に寄与する人材となることを目標とする人

建学の精神、理念・目的

建学の精神

建学の精神 “公正” “自由” “自治” を活かしながら新たな発展へ

 本学は、“工業教育の理想”を求める学生たちが中心となって創設された、日本においてきわめて稀な、学生の熱意が創り上げた大学です。この建学の精神は、独立自主の思い溢れる学生たちが掲げた、夢と希望のシンボルです。東京都市大学は、この優れた精神を継承しながら、新しい時代と社会の要請に応える大学へとさらなる進化を遂げます。

 

理念

持続可能な社会発展をもたらすための人材育成と学術研究

 「持続可能な社会発展」というのは、環境を損なうことなく社会を発展させることです。ここでの環境とは、単に、自然環境、地球環境という狭義の意味ではなく、社会的な環境も含んだ広義の環境です。例えば、経済の悪化による失業者増加や、山間の過疎地などでの高齢化による村落消失の危機などは、持続可能な発展を妨げるものです。私たちが住むこの地球を多角的、総合的に見ながら、持続的な発展へと導くことが、新しい本学の役割・使命となります。そして、そのための人材育成と学術研究の推進こそが、本学の目的です。

 

教育理念

 ボーダーを超えて、学生と教職員が共に考え、学び、行動することで社会に貢献できる人材を育てる。

 

教育目標

 公正・誠実さと自己研鑽力をもち、「都市」に集約されるような複合的課題に取り組むことができ、多種多様なボーダーを超えて新たな価値を見出すことで持続可能な社会の発展に貢献できる人材を育成する。

卒業認定・学位授与に関する方針(ディプロマ・ポリシー)

 東京都市大学は、本学の教育理念に基づき、所定の単位を取得し、以下の知識・能力等を修得した学生に対して卒業を認定し、学士の学位を授与します。

(自ら学ぶ力)
1.主体的・自律的に学び、自己研鑽できる。

(課題を探究する力)
2.「都市」に集約されるような複合的な課題に対してグローバルかつ未来志向の視点で取り組むことができる。

(ボーダーを超える力)
3.多種多様なボーダーを超えて知識や考え方を共有し、新たな価値を見出すことができる。

(協働する力)
4.公正・誠実に多様な人々と向き合い、柔軟に粘り強く協働することができる。

(実践する力)
5.人類文化と社会を理解し、基礎的および専門的な知識とスキルを身につけ、それらを総合して持続可能な社会の発展に貢献することができる。

理工学部 アドミッションポリシー

1) 人材の養成及び教育研究上の目的

教育理念である「理論と実践」のもと,理工学に関する深い専門性,幅広い教養,豊かな国際性,多様なコミュニケーション能力及び高い倫理観を涵養し,これらの学びを統合させることによって,社会に変革をもたらすための問いを生み出し,社会課題の解決に果敢に挑戦していく研鑽を積むことで,未来を切り拓く探究心,判断力及び実行力を持つ人材の養成を目的とする。(学則第4条の2別表6)

2) 求める人材像

□ 高等学校で学習する内容をよく理解して、専門分野を学ぶために必要な基礎学力を備えている人
□ 自然科学および科学技術に強い関心を持ち、未知の課題に取り組む意欲がある人
□ 理工学部で学び、専門知識と実践する力を身に付けることを目指す人
□ 多面的な思考力と幅広い視野を持って自らの考えを述べることができ、社会の持続的発展や人類の福祉に貢献する志を持つ人

3) 高校での学びについて

理工学部での学修を無理なく進めるために、高等学校では次の科目を履修していることが望まれます。
□ 数学(数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学Ⅲ、数学A、数学B)
□ 理科(物理基礎、化学基礎、生物基礎、物理、化学、生物)
□ コミュニケーション英語Ⅰ、コミュニケーション英語Ⅱ、コミュニケーション英語Ⅲ、英語表現Ⅰ、英語表現Ⅱ

理工学部 カリキュラムポリシー(教育課程の編成方針)

理工学部では、「理論と実践」という学部の教育理念に基づき、現実に即した発想のもとに理論的裏付けを持った実践能力を有する人材を育成する。そのために、下記の教育課程を編成する。
1.幅広い教養と国際的コミュニケーション能力を修得し、それを支える心身を鍛錬するために、「教養科目」・「外国語科目」・「体育科目」・「PBL 科目」を配置する。
2.理工学全般に共通する知識・能力(実行、思考、協働など)・倫理観、および、深い専門的知識・能力を修得するために、「理工学基礎科目」と「専門科目」を体系的に配置する。
3.社会の要請を見据えて、仕事を遂行する基礎力、実社会での課題を探究する能力、および実社会の複合的な問題を解決する能力を修得するために、「卒業研究」などを配置する。

理工学部 ディプロマポリシー(学位授与の方針)

所定の年限在学し、以下の知識と能力とともに所定の単位数を修得した者に、学士(工学もしくは理学)の学位を与える。
1.社会の発展に貢献する社会人としての、豊かな教養と人間性を修得している。
2.理工学全般で必要な基礎学力と、学科の分野に対応する十分な専門知識を修得している。
3.現実に即した発想のもとに、理論的裏付けを持った実践によって、社会の要請に対応できる能力を修得している。

各学科 人材の養成及び教育研究上の目的(学則第4条の2別表6)

機械工学科
機械工学の専門知識の修得と実践的学習を通して、工業が自然や人間社会に及ぼす影響に興味と関心を持ち、問題の発見から解決までに到る一連の流れを創造して、もの作りができる能力と、社会の多様な問題を解決するためのコミュニケーション能力を向上させ、社会変革を担える人材の養成を目的とする。

機械システム工学科
機械工学、電気工学、制御工学の基礎を幅広く学習し、機械システムを設計する実践的な経験を積むことにより、理論的裏付けを持った実践と協働によって次代の多様な社会的要請に応じた機械システムを構築できると同時に、教養、語学力、国際的思考を有し、社会を担う気概と倫理観を持った技術者の養成を目的とする。

電気電子通信工学科
電気電子通信工学の基礎となる知識を十分に修得した上で,幅広く専門知識を身に付け,さらに学生実験や卒業研究を通し実践的な経験を積むことにより,進化する社会の中で技術者として生き抜く力を養い,現実に即した発想のもと身に付けた知識に基づく理論的裏付けを持った実践によって多彩かつ柔軟に応用できる人材の養成を目的とする。

医用工学科
工学分野と医学分野の知識及びその活用に必要な基本知識と技能をバランスよく修得し,それらの知識と技能を有機的に融合させて医療及び福祉に貢献する機器や技術の研究開発を実践できる人材,さらには多様な知識を適切に活用して問題の発見と解決ができ,社会の変化に柔軟に対応できる人材の養成を目的とする。

応用化学科
応用化学に関する系統的な学修,すなわち物質の構造や性質に関連する化学の様々な基礎知識を修得し,化学をベースに新しい物質を創成・利用するための基礎から応用までの専門知識について理解を深め,先進的な研究活動の経験を積むことによって,機能性材料開発,クリーンエネルギー,環境浄化,省資源などの分野で広く活躍できる能力を備えた人材を養成することを目的とする。


原子力安全工学科
カーボンフリー電源である原子力エネルギー利用のさらなる安全性向上と発電以外の応用技術創造のために、原子核や原子力安全に関する正しい理論の学修と、放射線の取り扱いに関する実務を交えた学修によって、原子力・放射線分野の理論及び技術を修得し、高度で専門的な能力を有する技術者の養成を目的とする。

自然科学科
物理学・化学・生物学・地球科学・天文学及び数学といった自然科学に関する幅広い知識の涵養により,総合的な見識と健全な判断力を醸成し,自然科学における様々な現象を理学的視点により探究できる人材や広範な理学分野の学術的発展に寄与する調査分析能力を身につけた人材を育成することで,複雑化および多様化する社会に柔軟に対応できる人材や科学と社会の架け橋となって人類の持続可能な進歩や福祉に貢献する人材の養成を目的とする。

各学科 カリキュラムポリシー(教育課程の編成方針)

機械工学科
1.社会・健康・安全・法律・文化・環境などに関する教養から,現実の問題の多様性を理解し,工業製品やその生産が自然や人間社会に及ぼす影響について考えることができ,また負っている責任に関して理解しながら「もの作り」のできる能力を修得するための科目(教養科目,理工学教養,技術者倫理)を配置する。
2.自律的学習能力を修得するための教育目標に対して,科目の中に実験,実習,演習,卒業研究,技術レポートの作成,宿題等によるアクティブラーニングを設定する。
3.日本語で論理的に物事を考え,記述し,発言できる能力,またグローバルな世界で活躍できるコミュニケーション基礎能力を修得するための科目を配置する。
4.数学,自然科学など工学の基礎を習得し,他専門分野の基礎を自ら学べる基礎力と,機械工学に関する問題を解決する応用能力を修得するための教育課程を編成する。
5.機械工学のエンジニアとして必要な力学と設計科学に関する教育課程を編成する。専門科目は,系統別に機械力学,材料力学,流体力学,熱力学,材料学,加工学に分類される。建学の精神から,必要最低限の機械工学の教育は必修科目として配置するが,自由・自治の観点から高度な専門科目に関しては選択科目として配置する。なお,専門科目の系統的な教育を促進するために,履修モデルを学修要覧に掲載している。
6.技術者として自ら問題を発見し,それを解決するためのプロセスを計画的に進め,結果を理工学的に考察できるデザイン能力と責任分担能力を修得するための体験学習科目を配置する。

機械システム工学科
1.次代の要請に応じた機械システムの中核を担うことのできる技術者を育成するために,専門知識と実践的経験を双輪とした教育課程を体系的に編成する。
2.社会人として必要な教養,語学能力,国際的思考の習得や,心身の鍛錬と共に,理工学全般に必要な物事の考え方,基礎知識・能力,技術者としての心構えや倫理観を学ぶため,理工学教養系の科目群を配置する。
3.理工学全般の基礎となる理工学基礎科目の学習と共に,機械システム工学を構成する各専門分野の基礎力を身に付けるため,学科共通,材料工学,熱流体工学,電気電子工学,制御工学,プログラミング関連科目の科目群に,必修,選択必修,学科基礎選択必修の科目を配置する。
4.各専門分野の基礎的な物理現象や計測・制御技術などを実際に体験し,習得した基礎力を実践力へと高めるため,実験実習科目群に機械システム基礎実験と電気基礎実験を配置する。
5.機械システムを設計し統合する理論を学ぶために必要となる高度な専門知識を習得するため,材料力学,熱流体工学,電気電子工学,制御工学,ロボット工学,宇宙工学の科目群に選択科目を配置する。
6.専門分野の理論的な裏付けのある発想に基づいた実践的な問題解決能力を,現実の機械システム全体にまたがる課題を解決する経験を通して身に付けるため,機械システム設計演習(1),(2)を配置する。
7.大学院進学を見据え,幅広い理工学的知見と発展的課題を解決する高い実践力を養うため,応用分野科目の科目群と実験実習選択必修科目を配置する。
8.技術者の責任や役割を理解し社会を担う気概,自発的な計画性,主体的な行動力,論理的思考による問題解決能力を総合的に習得するため,学科の学習内容を実践により総括する卒業研究関連科目群を配置する。

電気電子通信工学科
1.社会・健康・安全・法律・文化・環境などの教養や技術者倫理を修得し,現実の問題に対して,実践力と理論的な裏付けに基づく適切な行動をとることができ,自らのキャリアを確立するための教育課程を編成する。具体的には,幅広い教養と国際的コミュニケーション能力を修得し,これを支える心身を鍛練するために,教養科目,外国語科目,体育科目を配置する。
2.電気電子通信工学を学ぶための基礎知識,電気電子通信工学の専門コア科目,並びに,電気電子通信工学を学ぶための専門科目の各知識・能力を修得するための教育課程を編成する。具体的には,理工学基礎科目として,数学,物理学を中心とした科目を,専門コア科目として,電気回路,電磁気学,電子計測,電子回路,通信工学,電気電子材料に関する科目を,専門科目として,「グリーンエレクトロニクス」,「次世代ドライブシステム」,「超スマートエネルギー社会」「情報通信プラットフォーム」に関係する科目を体系的に配置する。
3.電気電子通信技術者として仕事を遂行する基礎力と実践力,実社会での課題を探求する問題発見・解決能力,並びに,実社会の複合的な問題を解決する能力を修得するための教育課程を編成する。具体的には,「電気電子通信基礎実験」,「電気電子通信工学実験」,「電気電子通信応用実験」,「事例研究」,「卒業研究」を配置する。
4.プレゼンテーション力、コミュニケーション能力を高め,電気電子通信技術の専門家としての自己の将来設計を高めるための教育課程を編成する。具体的には,「外国語」,「事例研究」,「卒業研究」,「SD PBL(1)」,「SD PBL(2)」,「SD PBL(3)」「論理的な問題解決の進め方」,「先端工学」,「技術者倫理」,「インターンシップ」などを配置する。

医用工学科
医用工学科では科目の履修を通じ,理工学および医学に関する基礎知識および技術はもとより,それらの有機的な融合により,医学だけでは解決が困難な諸問題を解決する方法を総合的に学ぶ。さらに技術者として活躍するために必要な知識および能力も修得する。このような教育目標を実現する目的で下記のような科目群でカリキュラムを編成する。
1.社会人として,また国際人として必要な知識,技能および心身の獲得を目的とした科目群(教養科目,技術者倫理,外国語科目,体育科目,など)を配置する。
2.技術者として自己が果たすべき役割,将来に向けての展望,および計画の立案と実行に関する自発的かつ論理的思索能力を養う科目群(技術者倫理,インターンシップ(1),(2),福祉ロボット工学及び実習,SD PBL(1),(2),(3),事例研究(1),(2),など)を配置する。
3.理工学全般に必要な数学,自然科学等の基礎的知識を身につける科目群(微分積分学(1a),(1b),(2a),(2b),線形代数学(1a),(1b),(2a),(2b),物理学および演習(1),(2),化学(1),(2),生物学(1),(2),情報リテラシー演習(a),(b),医用工学リテラシー,プログラミング基礎(a),(b),など)を配置する。
4.専門分野の基礎として身につけておくべき,電気・電子工学,機械工学,医学の基礎に関する科目群(解剖・外科学,生理学(1),医用電磁気学及び演習(a),(b),医用電気回路,医用電子回路,医用機械工学実習(1a),(1b),(2a),(2b),医用機械工学基礎(1),(2),など)を配置する。
5.理工学分野,医学分野の応用分野および融合分野に関する科目群(生理学(2),解剖・生理学,医用機器,医用安全工学,医用機械工学応用(1),(2),計測工学,医用計測工学,など)を配置する。
6.知識の応用力,実践力を高め,問題発見・解決能力を涵養する科目群(福祉ロボット工学及び実習(a),(b),生理学及び実習(a),(b),臨床機器学及び実習(a),(b),総合実習(a),(b),卒業研究,など)を配置する。

応用化学科
化学の観点で産業社会の持続的な発展に貢献できる技術者の養成を目指した系統的な教育課程を次のように編成する。
1.持続的な発展に向けた歩みを続けてゆく社会のなかで,幅広い観点で柔軟に物事を考え判断する素養と能力を培うために,教養科目,理工学基礎科目を配置する。
2.化学技術者としての社会的使命と責任を理解するために,技術者倫理と理工学教養系科目などを配置する。
3.技術者に必要な数学,自然科学,情報科学の素養を身に付けるために,理工学基礎科目を配置する。
4.応用化学の礎となる根幹知識を修得するため,学科共通の専門科目を配置する。
5.化学の観点で様々な技術課題を見出し,その達成に必要な専門知識を修得するために,「有機・生物化学」,「物理化学・化学工学」,「無機・分析化学」の専門科目群を配置する。
6.身に付けた専門知識を課題解決に実践できる能力と課題解決に向けて主体的に行動できる能力を培うため,実験実習系科目,演習系科目,卒業研究関連科目などを配置する。
7.いかなる状況でも論理的な思考で自らの主張を文章や口頭で正確に表現しながら,適切な議論を進めてゆく能力を身に付けるために,外国語科目,PBL 科目,卒業研究関連科目などを配置する。
8.自主的な学びを続けて行ける心身堅牢な自己を確立するために,教養科目,体育科目,卒業研究関連科目などを配置する。
9.様々な制約のなかで計画的かつ合理的に課題へ取り組んで行くための柔軟な判断力,集団のなかで協働を進めて行ける骨太なリーダーシップを身に付けるため,PBL 科目,実験実習系科目,卒業研究関連科目を配置する。

原子力安全工学科
原子力安全工学科では,社会・健康・安全・法律・文化・環境などの総合的な教養を有し,物理・化学・機械・電気に関わる理学・工学的な基礎知識と高度な伝統的技術を基盤に,原子力の安全に対する正確な知識と高い技術者倫理を備えた原子力技術者を輩出するため,下記の教育課程を編成する。なお,教育課程や担当科目の特質を踏まえ,教員団には放射線を取扱う資格を有し,または産業界の在籍経験から実務について教える能力を有する教員を含む十分な数で構成している。
1.技術者としての素養を身につけるうえで必要となる教養科目と,国際的なコミュニケーション能力を高めグローバルな原子力技術を育成するために必要な外国語科目を配置する。
2.物理,化学,機械,電気までの幅広い分野の知識を修得するために必要となる「数学系」「自然科学系」「情報系」「理工学教養系」から構成される理工学基礎科目を配置する。
3.原子力の安全のための専門知識を修得するための教育課程を編成する。具体的には,「機械分野」,「電気分野」,「情報分野」などの学科共通科目,および,「原子炉工学」,「核燃料サイクル工学」,「原子力構造設計工学」,「原子力安全工学」,「放射線工学」の5つの各専門分野構成を体系的に配置する。
4.原子力の安全に貢献し得る技術者として必要となる基礎力と実践力,実社会での課題を探求する問題発見・解決能力,ならびに,実社会の複合的な問題を解決する能力を修得するための教育課程を編成する。具体的には,「電気機械・放射線実験」・「原子力実験実習」・「事例研究」・「卒業研究」などを配置する。また,学外の施設を利用したより実践的な実習を目的として,「原子炉運転実習」・「原子力技能訓練」・「特別講義」を配置する。

自然科学科
自然科学に関する総合的な見識と健全な判断力を有し、自然科学の学術的発展に寄与する調査分析能力を身につけ、社会に柔軟に対応できる人材や科学と社会の架け橋となって人類の福祉に貢献する人材を養成するため、次のような方針に基づき教育課程を編成し実施する。
1.自然科学の学術的基礎を幅広く体系的に学べるように科目を配置する。
2.分析科学、野外調査、情報処理等の技能を実践的に学べるように科目を配置する。
3.教員、博物館学芸員等に求められる能力と免許、資格が得られるように科目を配置する。
4.科学史、科学哲学、科学社会学等の素養が得られるように科目を配置する。

各学科 ディプロマポリシー(学位授与の方針)

機械工学科
所定の年限在学し,以下の能力を身につけるとともに所定の単位数を修得した者に,学士(工学)の学位を与える。
1.現実の問題に対して多様性を理解し,工業製品やその生産が自然や人間社会に及ぼす影響について考えることができ,また負っている責任に関して理解しながら「もの作り」ができる。
2.自律的学習能力を修得している。
3.日本語で論理的に物事を考え,記述し,発言できる能力,またグローバルな世界で活躍できるコミュニケーション基礎能力を修得している。
4.数学,自然科学など理工学の基礎を社会の様々な問題に応用できる。
5.機械工学のエンジニアとして必要な力学と設計科学に関する教育課程の中の細目の機械力学,材料力学,流体力学,熱力学,材料学,加工学を習得し,実際の問題に応用できる。専門分野における系統別の総合評価は機械工学科のHPに掲載している学修達成目標レベルの通りである。
6.技術者として自ら問題を発見し,それを解決するためのプロセスを計画的に進め,結果を理工学的に考察できるデザイン能力と責任分担能力を修得している。

機械システム工学科
所定の年限在学し,以下の能力を身に付けるとともに所定の単位数を修得した者に,学士(工学)の学位を与える。
1.社会生活の基盤を支える機械システムを担う技術者として必要となる機械システム全体を理解するための論理的思考を身に付けている。
2.機械システムを理解するために必要な機械工学と,これに関連する電気電子工学,制御工学,情報工学などの基礎知識を修得している。
3.得られた知識を利用して機械システムを設計し,機械要素技術を実際に統合する実践的な経験を積んでいる。

電気電子通信工学科
所定の年限在学し,以下の能力を身につけるとともに所定の単位数を修得した者に,学士(工学)の学位を与える。
1.幅広い教養を持ち,多面的視点から社会問題を捉えることができ、人間としての高い倫理観をもって、技術者が社会に与える影響、技術者の責任について十分に理解する。
2.電気電子通信工学で必要な理工学基礎科目に対応する基礎学力,電気電子通信工学の専門コア科目と専門科目に対する十分な知識と応用する能力を修得する。
3.電気電子通信工学分野の現実の問題に対して,理論的裏付けを持った実践によって,問題発見,解決する能力を有し,深い解析、考察により論理的に結論を導き出すことができる。
4.幅広いコミュニケーション能力を有し,他者へ的確に考えを伝え、協働することができ、電気電子通信技術の専門家として社会貢献、自己の将来設計を行うことができる。

医用工学科
所定の年限在学し,以下の能力を身につけるとともに所定の単位数を修得した者に,学士(工学)の学位を与える。
1.医用工学およびその基盤となる学問分野の社会における役割および関係性についての理解を修得している。
2.コミュニケーション能力および協調性を維持し,身につけた社会生活の基盤となる知識をもとに他者と適切に協力しながら社会生活を営む能力を修得している。
3.学位認定に必須となる限られた知識のみならず,医用工学全体を理解,応用するために必要となる医学,理工学に関する幅広い周辺知識を修得している。
4.自発的な学習と思考ができ,将来の展望を見据えつつ学んだ知識および経験を生かして社会の要請に対応できる能力を修得している。
5.医用工学およびその基礎となる知識を身につけた者としての確固たる行動規範を修得している。

応用化学科
所定の年限在学し,以下の能力を身につけるとともに所定の単位数を修得した者に,学士(工学)の学位を与える。
1.持続的な発展に向けて化学の担う重要な役割を理解し,自らを自己の思考,判断,行動の支えにできる素養を身に付けている。
2.技術者に必要な理工学的な基礎知識と化学の専門知識を裏付けとして,社会の発展に必要な課題の発見・解決を実践できる能力を身に付けている。
3.いかなる状況でも論理的な思考に基づいた議論を展開できるプレゼンテーション・コミュニケーション能力を身に付けている。

原子力安全工学科
所定の年限在学し,以下の能力を身につけるとともに所定の単位数を修得した者に,学士(工学)の学位を与える。
1.原子力利用の安全と健全な発展のための理工学的分野から社会工学的分野にわたる総合知識と高い倫理観を修得している。
2.原子力,放射線等の安全に対する正確な知識と,実際の設備施設を用いた実務レベルの実習・訓練から得られる実学を修得している。
3.世界的視野にたちグローバル・コミュニケーション能力を修得している。
4.原子力の安全を工学的に扱うために必要となる教養基礎科目から,原子力利用の安全に関する専門知識を修得している。
5.絶えざる自己研鑽の士気を涵養し,進歩を希求する積極性を修得している。
6.併せて,与えられたコストや時間の制約の下で計画的に仕事をまとめられるデザイン能力を養う能力を修得している。
7.実習などチーム作業の重要局面における自己の役割の弁え方を悟り,かつ他者への思いやりや動機づけ,リーダーシップ等を修得している。

自然科学科
所定の期間在学し,以下の能力を身につけるとともに所定の単位数を修得した者に,学士(理学)の学位を与える。
1.自然科学に関する総合的・理学的な見識と健全な判断力を修得している。
2.自然科学の学術的発展に寄与する調査分析能力を修得している。
3.科学の社会の架け橋となって人類の福祉に貢献する能力を修得している。

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